2012年9月22日土曜日

大学図書館を見学するときのTips

半分趣味、半分は勉強で出張や旅行のついでにいろいろな大学図書館の見学をしているのだけど、そのときにどういうことをすればいいのか、という自戒も込めたメモ。

あくまで個人的な意見であり、筆者もこれをすべて実行しているわけではないのでその点はご容赦ください。


大学図書館を見学するメリット

見識を広めることはもちろんですが、図書館員にとってよその図書館を見学するということは自館を省みることにつながります。館種・規模の大小に関わらず参考になる点は必ずあると個人的には考えています。
また利用者目線で他の図書館を見るという日頃とは異なる体験をすることで、自分の仕事に対しても客観的な視点を養うことができるかもしれません。
あとスタッフの方とお知り合いになれる機会でもあります。現場に行くと、なかなか外に出て来られない図書館の方とも会うことができますし、そうでない方も研修会やイベントといったフォーマルな場ではなく言わばホームでは違った印象を与えてくれるかも。

事前に電話にてアポを取る


その日突然見学を思いついた場合でも、電話しておくといい。
大学によっては学外者の入構を許可していない所もあるし、見学に耐性のない図書館の場合はいきなり訪ねると迷惑をかけてしまい、通常業務に支障を与えてしまう。
土日祝日の場合は、対応できる正職員がいないため写真撮影などの許可をもらえないこともあるのでできれば事前に連絡をしておくのが吉。

写真撮影について

館内での撮影については、当然許可をもらうこと。
利用者が映らないように撮影することは基本。
利用者に対して館内でデジカメの使用を禁止している図書館や、撮影はOKだがシャッター音は立てないようにしないといけない館もある。
携帯よりは普通のデジカメの方が良い。

見学先について調べる

大学、図書館のHPをチェックしてアクセス方法や学部構成・学生数をチェックしておく。大学図書館員であれば自分の所属する大学との相違点等を頭に入れておくとなおよし。

急に見学することになった場合は、近くの書店に駆け込んで受験生向けの大学ガイドだけでも読んでおくとその大学に対しての一般的な評価が短時間で把握できるので結構オススメ。

自館のデータを確認する

スタッフの方が案内してくれる場合、向こうはこちらの図書館についてよく知らないと思った方がよいので、ある程度自館について知識を持っておくこと(蔵書数、学生数、座席数など)。
利用案内等を持参するのもよいかも。

見学のポイント:見学ルート

自由に見学してよい場合は、できれば正面玄関・閲覧室・書庫・バックヤード(事務室等)の順に見学すると良い。特に撮影可能なあとから写真をまとめるときに、その順番の方が見やすいし、実際に現場に行ったことがない同僚や友人に共有するときにも都合がいい。


見学のポイント:サイン

既成品より職員が作成したサインは館の規模に関係なく参考になることが多いので、デザイン・レイアウトや語句の使い方、掲示方法、掲示場所等を見るとよい。

既成品のサインは興味がある場合はメーカー等を教えてもらう。スタッフによってはそこまでご存知でない方も少なくないが、ダメ元で聞いてみると後で教えてくださることも。


見学のポイント:什器

書架は何より、椅子や机といった什器類は場所としての図書館の居心地に関わる要素である。不審がられない程度に触って実際の使用感を試してみる。
机の場合は、「仕切りがあるか」「コンセントがあるか」などのオプションもチェックしてみたい。


見学のポイント:照明

蛍光灯等が切れたらどうしているのか。誰が替えているのか。
ちょっと変わった形状の照明を使用されている場合、特注なのか既成品なのか。
最近は人感センサーで書架の下は照明が点くようにしている図書館もある。


見学のポイント:その他のマナー

閲覧室内で興奮して語らないこと。図書館では静かにしましょう。
利用者・スタッフさんの邪魔にならないようにすること。
貴重な業務時間を割いていただいていることを自覚しておきましょう。


手土産について

基本的にはなくても構わないが、余裕がある場合は地元のお菓子や大学オリジナルグッズ等を手土産に持っていくと良い。
県内の場合は地元デパ地下にある有名菓子店のものが喜ばれるかもしれないが、県外の場合は土産物がある意味名刺代わりになるので地元のものがベター。

仲の良いスタッフさんなどの場合は例外ですが、当たり前だがお菓子はいくら自分が好きだからと言っても分けにくいようなもの、すぐ悪くなるものは避けること。ロールケーキやノーカットカステラなんかはやめましょう。

こちらから無理を言って業務時間外に見学させてもらうような場合はお礼の気持ちを込めて持参した方がいいと思うけど、気張って豪華なものを持っていく必要はないのではないかと思います。かさばるので。。。


見学後に

メールアドレスを教えていただいている場合はできるだけ早くお礼メールを出す。そうすることで、相手にこちらのことを覚えていただけるし、自分にとっては良い復習になる。

2012年9月6日木曜日

[まとめ]貴重資料公開用オープンソースソフト

図書館や博物館では貴重資料(古文書や和綴じ本、掛け軸やら何やら)を電子化してデジタル・アーカイブやら電子化コレクションなどというタイトルでウェブで公開しているのだが、公開形式が結構ばらばらなのでもっと検索がしやすかったりデータが標準化されないかなーと思っている。

で、その一つの解決策としてオープンソースの公開用システムの採用が考えられるので、いつか使いたいなー国内のアーカイブサイトがこういう流れになればいいなーと思ってまとめます。

随時更新予定。

あったらいいなあと思う機能

  • ブラウザ上でデータのアップロード、更新、編集が可能。
  • メタデータと画像データ(JPG、PDF)が登録可能。
  • データは個別、csvやエクセル形式での一括登録・編集が可能。
  • スタイルシートの設定が可能。
  • ぶっちゃけて言うとOJSとかDspaceの貴重資料Ver.

Omeka

URL:http://omeka.org/
関連情報:研究者、図書館、博物館、文書館向けのウェブ出版用オープンソースソフト“Omeka”が正式リリース(2009/6/9、カレントアウェアネス) http://current.ndl.go.jp/node/13156

2012年9月2日日曜日

[まとめ]オンラインで本文が無料で見られる解体新書

ちょいまとめ。
オンラインで全文が無料公開されている解体新書。



「解体新書」基本情報

原著者:Kulmus, Johann Adam(ヨハン・アダムス・クルムス、キュルムス、與般亜覃闕児武思)
訳: 杉田玄白ほか
校訂: 中川淳庵
校閲: 桂川甫周
図:小田野直武
出版者: 須原屋市兵衛
出版年: 安永3 (1774)年

国立国会図書館

提供範囲:序図~巻之四
提供元サイト名: 国立国会図書館デジタル化資料
URL: http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2609149

秋田県立図書館

提供範囲:巻之一~巻之五 ※他館では序図となっている巻が巻之五としている様子。
提供元サイト名: 秋田県立図書館所蔵貴重資料

慶應義塾大学

提供範囲:序図~巻之四
提供元サイト名: 慶応義塾図書館デジタルギャラリー
URL: http://koara-a.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/detail.php?item_id=3235

長崎大学

提供範囲:序図のみ
提供元サイト名:長崎大学附属図書館医学分館所蔵貴重和漢古書目録
URL: http://www.lb.nagasaki-u.ac.jp/search/ecolle/wakan/data/kaitai/catalog.html

内藤記念くすり博物館

提供範囲: 5冊
提供元サイト名: 収蔵品デジタル・アーカイブ
URL: http://www.eisai.co.jp/museum/information/facility/archive/26363/thumbnail01.html
【参考】学芸員のちょっとコラム:ほんものの解体新書(2004.01.23)http://www.eisai.co.jp/museum/curator/column/040123c.html

National Library of Medicine(米国医学図書館)

提供範囲:序図のみ
提供元サイト名: Historycal Anatomies on the Web


関連リンク

日本医術のことはじめ-まじないから解体新書まで-(九州国立博物館)

http://www.kyuhaku.com/pr/exhibition/exhibition_pre90.html
平成24年5月9日(水)〜7月1日(日)に開催された企画展。東京医科歯科大学図書館所蔵の解体新書を原書と共に展示。有名な表紙のある見開きページのみ上記URLから見ることができる。

コレクション探訪:杉田玄白『解体新書』(印刷博物館)

http://www.printing-museum.org/collection/looking/04_02.html
解説あり。例の表紙も掲載。

江戸東京博物館 開館20周年記念特別展 日本橋(江戸東京博物館)

http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/exhibition/special/2012/05/index.html
平成24年5月26日~7月16日に開催された特別展。江戸東京博物館所蔵の解体新書5冊を展示。例の表紙も上記URLに掲載。

福井県立図書館 貴重資料データベース(福井県立図書館)

http://www.library.pref.fukui.jp/webmuseum/collect/detail.do?data_id=3978
一部画像が閲覧可能。

所蔵している大学図書館(順不同、CiNii Booksより)

http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA84920774 同志社大学
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA45286169 筑波大学
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB07514765 名古屋大学
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BA59299056 長崎大学
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB03339120 城西大学(序図のみ)
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB02819608 九州大学
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB04773428 東京大学
http://ci.nii.ac.jp/ncid/BB05661011 佐賀大学

※京都教育大学も所蔵があったようだが、図書館の蔵書検索にはヒットしない。
ソース 解体新書の初版本発見/全5巻、京都教育大書庫で(2003.12.01、四国新聞) 
http://www.shikoku-np.co.jp/national/culture_entertainment/article.aspx?id=20031201000309

※京都大学も所蔵しているようだが、NCに所蔵登録はしていない。
http://m.kulib.kyoto-u.ac.jp/webopac/ufirdi.do?ufi_target=catdbl&ufi_locale=ja&pkey=RB00001510

海外図書館の所蔵

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nlmcatalog/101230712 NLM(米国医学図書館)
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nlmcatalog/101147255 同上