2013年4月29日月曜日

山崎茂明著, 医学文献サーチガイド, 日本医書出版協会, 1993.1で2013年でも参考になる部分とそうでない部分


20年前に出版された表題の図書を読んでみました。
CiNii Booksリンク http://ci.nii.ac.jp/ncid/BN08652667

20年前というと、Windows95も登場しておらず、wwwも普及していないので当然Google先生もPubMedも医中誌Webもない時代。
そんな時代に医学学術情報をどうやって収集していけばいいのかという本ですが、今読んでも古くない箇所もあり、非常に参考になったので紹介。

目次 
Part I 環境としての情報
1章 医学文献の世界 ☆☆ 
Part II 情報の探し方
2章 文献調査をどのようにはじめるか ☆☆
3章 CD-ROMを用いた文献調査
4章 Index Medicus ☆
5章 医学中央雑誌
6章 Excerpta Medica
7章 医学関連領域の主要な二次情報源
8章 引用索引のおもしろさ:Science Citation Index ☆
9章 オンライン検索
10章 癌領域の最新情報 
Part III 学術雑誌へのアプローチ
11章 医学雑誌の歴史と生態 ☆☆
12章 主要な総合医学雑誌 ☆
13章 レビュー論文の重要性 ☆☆
14章 レフェリーシステムの役割 ☆☆
15章 JCR(Journal Citation Index)を利用した学術雑誌の評価 ☆

Part IV 情報資源へのアクセス
16章 資源としての図書館情報センター ☆
17章 役に立つレファレンスブック
18章 参考文献のスタイルと整理 ☆☆

全18章のうち、今でも使える部分に☆~☆☆をつけてみました。
まあまあという感じでしょうか。
個別の情報源の使い方に関する記述はさすがに今の時代でも使える部分は少ないのですが、自分のような冊子体目録やCD-ROMでの検索を全く経験していない世代の人間は知識として知っておくと、ガイダンスなどでの話がしやすくなるんじゃないかと思います。


ただ、☆をつけている「4章 Index Medicus」、「8章 引用索引のおもしろさ:Science Citation Index」、「15章 JCR(Journal Citation Index)を利用した学術雑誌の評価」についてはオンライン化された現在の検索システム(Index Medicusは今で言うとPubMedに相当)でも掲載されているデータ自体はあまり変わっていないようです(SCIについては勤務校で契約していないので確実なことは言えませんが)ので、

  • なぜこのデータベースが重要なのか
  • データの見方、活用方法

については十分今でも通用します。


あと面白かったのは「12章 主要な総合医学雑誌」p127で挙げられているIFの高い総合医学雑誌。20年経っても6誌のうち5誌は変わらず。
JCR2011を調べてとp127の順位を比べてみました。()内が「医学文献サーチガイド」の順番。
1(1) NEW ENGL J MED(0028-4793)
2(2) LANCET(0140-6736)
3(4) JAMA-J AM MED ASSOC(0098-7484)
4(3) ANN INTERN MED(0003-4819)
5(-) PLOS MED(1549-1277)
6(5) BRIT MED J(0959-535X)


13(6) AM J MED(0002-9343)
5位のPLOS MEDは2004年創刊のオープンアクセスジャーナル。まだ発行されて10年も経っていないのにすごい。
PLOS medicine: http://www.plosmedicine.org/

どれがメジャーな雑誌かということは、専門家には自明のことなのでしょうけど、図書館員はほとんどが医学分野は門外漢なのでこういう基本的なことが分かる図書は良いですね。

もちろん、「時間がないのでとりあえず検索の方法だけ知りたい!」という人にはおススメしない。