2014年5月9日金曜日

医学教育分野別評価基準日本版 【正式版】の図書館に関する記述

 2013年7月30日付けで日本医学教育学会医学教育分野別評価基準策定委員会から発表された、世界医学教育連盟(WFME)グローバルスタンダード準拠医学教育分野別評価基準日本版 【正式版】Basic Medical Education: Japanese Specifications
WFME Global Standards for Quality Improvement
( http://jsme.umin.ac.jp/ann/jmse_an_130730_WFME.html )の存在を今頃知ったので、医学図書館が関係しそうな記述を抜き出してみた。

6. 教育資源

6.1 施設・設備

基本的水準:
医科大学・医学部は
 教職員と学生のために十分な施設・設備を整えて、カリキュラムが適切に実施され
ることを保証しなければならない(B 6.1.1)
 教職員、学生、患者とその介護者にとって安全な学習環境を確保しなければならな
い(B 6.1.2)

質的向上のための水準:
医科大学・医学部は
 教育実践の発展に合わせて施設・設備を定期的に更新、修繕または拡張すること
で、学習環境を改善すべきである(Q 6.1.1)

注釈:
 [施設・設備]には、講堂、教室、グループ学習およびチュートリアル室、教育および研
究用実習室、臨床技能訓練室、事務室、図書室、IT施設のほか、十分な勉強スペー
ス、ラウンジ、交通機関、ケータリング、学生住宅、臨時宿泊所、個人用ロッカー、ス
ポーツ施設、レクリエーション施設などの学生用施設が含まれる。
 [安全な学習環境]には、必要な情報の提供と有害物質、試料、有機体からの保護、
検査室の安全規則と安全設備が含まれる。
学習環境の整備のための施設の中で、図書室が挙げられている。質的向上のための水準では、定期的に更新、修繕または拡張により改善していくことも書いている。

6.3 情報通信技術 

基本的水準: 
医科大学・医学部は 
 教育プログラムで適切な情報通信技術の有効利用と評価に取組む方針を策定し履
行しなければならない(B 6.3.1) 

質的向上のための水準: 
医科大学・医学部は 
 教員や学生が以下の目的で新しい情報通信技術を活用できるようにすべきである 
 自己学習(Q 6.3.1) 
 情報へのアクセス(Q 6.3.2) 
 患者の管理(Q 6.3.3) 
 健康管理業務(Q 6.3.4) 
 担当患者のデータと健康管理情報システムへの学生アクセスを最適化すべきであ
る(Q 6.3.5) 

注釈: 
 [情報通信技術の有効利用に関する方針]には、コンピュータ、内外のネットワーク、
およびその他の手段の利用の検討も含まれる。これには、図書館の蔵書や機関の
IT サービスへのアクセスも含まれる。また、この方針には、学習管理システムを介す
るすべての教育アイテムへの共通アクセスも含まれる。情報通信技術は、専門職生
涯学習(continuing professional development:CPD)/生涯医学教育(continuing 
medical education:CME)を通して、EBM(科学的根拠に基づく医学)と生涯学習の準
備を学生にさせるのに役立つ。
ここでいう「図書館の蔵書」は、図書館内にある紙媒体の資料そのものではなく、書誌データと電子資料のことだと思われる。

 8.4 管理職と運営  基本的水準: 医科大学・医学部は  以下のことを行うのに適した管理職および専門職を配置しなければならない。  教育プログラムと関連の活動を支援する(B 8.4.1)  適切な運営と資源の配分を確実に実施する(B 8.4.2)  質的向上のための水準: 医科大学・医学部は  定期的な点検を含む管理運営の質保証のための内部プログラムを作成し履行すべきである。(Q 8.4.1)  注釈:  [管理職]とは、方針決定と方針ならびに計画の履行を支援する管理運営組織の地位にある者で、運営上の組織的構造によって異なるが―学部長室、事務局の責任者、スタッフ、財政の責任者、予算および財務局のスタッフ、入試事務局の役員およびスタッフ、プランニング、人材、IT の各部門の責任者およびスタッフが含まれる。  [運営]とは、組織の方針およびプログラムの方針の執行に主に関わる規則および構造を意味し、これには経済的、組織的な活動、すなわち医科大学内の資源の実際の配分と使用が含まれる。組織およびプログラムの方針の履行は、使命、カリキュラム、入学許可、教員募集、および外部との関係に関する方針と計画を実行に移すことを含む。  [管理職の適切性]とは、資格に応じた規模と構成を意味する。  [質保証のためのプログラム]には、改善の必要性の検討と運営のチェックが含まれる。 
具体的に図書室に関する記述はないのだが、「教育プログラムと関連の活動を支援する」というのはガイダンスや参考調査業務に、「資源の配分を確実に実施する」というのは資料の受入れや電子ジャーナルの契約業務に相当すると考えられる。


つまり、施設・資料・人材という図書館における3要素について、この評価基準でも挙げられていると考えられる。